11月5日付け北海道新聞朝刊に『第35階北海道新聞短歌賞・俳句賞』の入選作が発表され、短歌賞に『凍てつく銀河』、俳句賞に『潜伏期』が選ばれたことが発表されました。
この中で、短歌賞を受賞した『凍てつく銀河』は、作者の佐藤水人里さんが、終戦間際の昭和20年、東京などで空襲に遭った被災者を集団機能させ食糧増産を図った国策「拓北農兵隊」として秩父別町に帰農した父母たちとの忘れ得ぬ想い出を、最近になって始めた短歌の形式でまとめられたものです。
この本は、同じ想い出を持つ、東京に在住の私の父の従姉が、今年の夏にこの本をわざわざ送って来てくれたものでしたが、読むほどに、当時の厳しい生活を感じさせられる内容でした。
私の祖父母と父の兄弟、祖父の兄夫婦と子ども達も、この拓北農兵隊として一已村に帰農した家族で、昨年のNHK朝ドラの「なつぞら」で、神田日勝氏をモチーフとした山田天陽君一家もドラマの中で拓北農兵隊であることが説明されていましたが、終戦間際の東京はじめ各地の空襲被害から逃れられ、農地を購入して食料も確保できるという宣伝により、数多くの家族が北海道に入植されています。
しかし、受賞作にあるように、慣れない農作業、厳寒と豪雪に苦しめられ、その多くは終戦間もなく、帰京する方や、別の職業に就いたりされたものです。
父の従姉家族も戦後間もなく帰京し、以降は東京暮らしですし、作者の家族も、こちらで生まれた妹さんが病死、母も結核で亡くなり、3年後には東京に戻られたとなっています。
拓北農兵隊の話は、一已村史にも掲載され、当時50戸近い家族が帰農したが、戦後ほとんどがこの地を離れ、現在残っているのは田中家のみという(当時昭和50年代)ことで、我が家も居住地は変わらないものの、平成3年には離農しており、戦争により人生を大きく変えられたことを感じざるを得ません。