山口県萩市

 周南市に引き続き、午後には萩市に移動し、萩図書館・萩博物館でそれぞれ、『市民(NPO法人)との協働による図書館運営について』、『萩まちじゅう博物館の取組みについて』視察させていただきました。

 

 萩市は山口県の北部に位置し、約700㎢で日本海に面し島根県に接する人口5万1千人のまちで、平成17年に7市町村が合併しており、毛利家の家臣たちにより学問と教育活動に力が注がれ、明治維新の原動力となった人材を数多く輩出しており、NHK大河ドラマ花燃ゆの物語にもその様子がしるされています。

 新萩市では『まちじゅう博物館構想』を軸に、観光文化都市を目指したまちづくりが進められています。

 

 幕末から維新に向かう時代の多くの文献や資料が保存されている萩市では、平成23年に新図書館が児童館との複合施設として開館し、『NPO萩みんなの図書館』との協働運営を実施している。

 直営の市職員は4名(内司書1名)で、NPO職員は18名(事務局1名、司書12名、保育士等5名)で、午前9時から午後9時まで原則年中無休、午後7時以降は守衛のみだが、自動貸出機の設置により市民は9時まで借りる事ができる。

 入館者数は年間30万人を超えており、利用人数も年間96千人、自動貸出機利用率58%。

 子ども達に読書通帳を無料作成(山口銀行からの寄付金で運営)

 

 他に、行政資料情報のワンストップサービスにより、行政資料は全て図書館で得られる。

 雑誌スポンサー制度~雑誌コーナーの雑誌を個人や企業のスポンサーが直接契約し、書店から発売日に職拙配送、提供誌の最新号カバー・設置場所にスポンサー名を表示することで、225誌中139誌がスポンサー契約している。

 原則年中無休により、市民サロンとしての機能、飲食可能な談話コーナーや、管内にペットボトル持込みスペースを設置、NPOによる喫茶の運営などで、より充実した環境になっている。

 

 など、先進的な取組みを聴かせていただきました。

 

 さらに、まちじゅう博物館では、H16年に開館した萩博物館を中心に、萩市全域が博物館であり、市民一人ひとりが大切にしている伝統や文化を継承しながら観光開発を実現し、住民が誇りを回復・持続させながら一定の自由裁量の中で観光開発できる、エコミュージアムとコア施設としての博物館が作り出す。

 歴史的遺産と景観形成、歴史的風致維持向上計画の認定や屋外広告物への景観行政、萩ものしり博士検定などの事業により、多くの住民を巻き込みながら『萩まちじゅう博物館で体感するゆったりじっくり観光』を推進する核となっている。

 

 ことなどを聴かせていただきましたが、少なくともこの倍の時間、あるいは丸1日の日程が必要なくらいの内容であることがわかりました。

 観光都市として有名で、傍から見ればうらやましいと思っていましたが、それぞれの地域では各自の問題・課題を抱えていて、その課題を住民との協働で克服している素晴らしい事例です。

 文化の大切さ、しかも、住民や民間に丸投げではない、行政がしっかり方向性を掲げ、常にリードしあるいは下支えをしつつ、地域や住民の持つ力を最大限に生かす取り組みが必要と感じました。

 

 萩の素晴らしい街並みを散歩する目論みは、土砂降りの雨で果たすことが出来ませんでしたので、次の機会に挑戦したいと思います。