3日、京王プラザホテル札幌で『講演と対談 ”リベラル再生の道筋”』が開かれました。
『市民が主役』の政治をつくろう!北海道フォーラムが主催した会ですが、今回は呼びかけ人代表の山口二郎北海道大学大学院教授と寺島実郎氏の講演で、多くの道民が駆けつけました。
沼田町出身の寺島実郎氏の講演では、
・昨年度の一人当たりGDP、日本は3.9万ドルでアジア3位
・1位シンガポールは5.3万ドル、香港は3.8万ドル、台湾も3万ドル台でいずれ日本を超える
・デンマークは5.8万ドル、ICT、ITと農業生産を組み合わせて世界一
・今の日本の雰囲気は非常に浅薄
・一つは、『プチナショナリズム症候群』~せめて近隣の国にはなめられたくない、韓国・中国になめられたくない
・学生からの質問で、「どうして日本のために命をかけていった人に参拝に行ったらダメなのか?」「宗教の自由だ」論
・A級戦犯合祀、無名戦士の参拝、ならば、靖国神社に合祀されている、4.9万人の朝鮮半島、台湾出身の日本兵として亡くなった方たちにも、保障も含めて同じように扱い、尊崇の念を持って参拝しているのか?
・東京裁判を否定する論もあるが、サンフランシスコ講和条約は東京裁判を受け入れることで日本の国際復帰したという認識が必要
・『UN(ユナイテッド・ネイションズ)』を日本では『国際連合』と訳しているが、本来は『連合国』であり『戦勝国連合』が常識
・中国は『戦勝国連合』の常任理事国として、敗戦国の日本が金を出して何か言おうとしている、というスタンス
・今の安倍総理の靖国参拝はBBCやCNNのメディアからも戦後秩序の否定と受け止められ、戦前日本の回帰を目指しているように見られている
・米国でのアジアでの最大の関心事は米中関係
・日米安保を軸に中国と対峙すると考えているのは日本だけで、米国は、よもや尖閣問題で米中戦争にならないように中国と約束
・脱原発=リベラル、ではない
・日米原子力協定とどう向き合うのか?54基の原発は全て米製
・核の傘にいて、原子力共同体とどう向き合うのか?
・1993年ドイツでは国内の米軍基地の地位協定を全面的に見直し大幅に削減
・日本ほど戦後のまま米軍基地を置いている国はなく、日米地位協定をどう見直すのか
・日本こそが北東アジアの安定化のため行動が必要で、それは靖国参拝と対極
・もう一つは、『株が上がっておめでたい症候群』~財界も株主も目先の利益で喜んでおしまい
・今、三週連続外国人投資家が売り越しに転じ下落傾向
・株価は1990年3万円だったが、今日で1万4千円台
・ボトムから7割アップ、1年で55%値上がりしているが、日本人は株を買っていない、売り越しで儲けているだけ
・東証上場企業の株の33%は外国人投資家、トヨタは55%、三井物産でも4割で、企業利益の従業員・内部留保・投資家配当のバランスの中で、外国人投資家たちは配当を強く求めてくる
・日本人が株を売るため上がらない、売らなければ1万8千円くらいになっている
・株高幻想の強迫神経症が3月末に向けて危険信号
・アベノミクスで円安操作、輸出は増えておらず、輸入インフレで資材が20%アップしているが価格転嫁できないのは、消費が増えていない、賃金が1%も上がっていない
・連合組織率17.9%で、働く人たちの8割以上は未組織
・200万円以下の収入で働く人は34%
・生活保護基準6.5%の引き下げで、所得250万円の家族に20万円の住民税が新たにかかる人も
・格差と貧困、不条理が広がっている
・リベラルとは近代に向き合い、民主主義を実現
・日本人は国権主義・国家主義に回帰する危険性をはらんでいる
山口二郎氏からは
・リベラルには、ヨーロッパの古典的な自由、アメリカの社会正義、日本は石橋湛山などの軍国主義に反対するところから始まって、自由闊達・懐の深さや、目先の利益ばかり追う風潮を改め人間の尊厳や価値を守ること
・特定秘密保護法案審議の時国会の周りで自発的に行動をした方たちなど、デモクラシーに能動性を持っている人も多くいる
・今の状況を嘆いているばかりでなくしっかりと声を上げていく
など、2時間にわたりほぼノンストップの講演となりました。
寺島氏の講演は2度目でしたが、世界をよく知っている故の論考には本当に勉強になります。
国会議論の低調が伝えられていますが、強気一辺倒の安倍総理の姿勢の裏腹はどうなのか?今後の推移を見てみたいと思います。
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久保AB-ST元宏 (水曜日, 12 2月 2014 04:10)
田中先生も、いらしてたのですね。
いつもの克明な報告、さすがです!
私も、報告を書いてみました。
↓
http://kyouhanshinbun.hp2.jp/terasima-jiturou2014yamaguchi-jirou.htm
あみ (木曜日, 13 3月 2014 03:40)
日本の平和主義は世界で通用しません
ウクライナで失態したアメリカに期待は出来ないでしょう。まさに失望しました
アメリカが弱った今中国が攻撃しないという保障はありません
安易に日中の開戦はないと言い切れないでしょう。